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『ろうそく夜』
鳴門の西側、大麻山の麓に綿々と続くお寺、種蒔大師東林院があります。1200年以上続く伝統的な境内で人々の生活と精神を支えてきた地域の歴史そのものを現す場所です。境内の南側に大きな楠の木があり、その足元にある古い小屋がろうそく夜です。もともとは参拝者の休憩所だった東屋をリフォームして出来た喫茶店で、ここに新店舗の設計を任されました。
歴史ある境内に建築を計画するには同じく長い時間軸で設計を考えていくこと、徳島県内の建築行為の歴史を辿っていくことでデザイン的な風化を避け、使われ続ける建物になるだろうと仮説を立てました。具体的には木造でつくること、里山の木を使うこと、寸法規律性を持った空間で印象の強さを求めることです。
旧ろうそく夜のようにガラスをぐるっと外壁に回すために木構造の基本である四分割を応用しています。天井の梁と窓の寸法に関連性を与え、繰り返す梁と窓で空間にリズムを生む出します。
里山の木は神山町の杉を採用しました。古くは吉野川を下って、市井の建築文化を支えてきた神山杉で躯体を組み、柱・間柱を使って窓を固定することで内外ともに杉の肌感が感じられます。
小割りされたタイル、R壁、店主が探してきたアンティークの家具や照明たちも、空間の印象をぐっと引き寄せる役割を担ってくれました。
竣工したてのときは凛とした空気感があったのですが、オープンしてさまざまなお客さんがお見えになると空間が賑やかに華やいで感じられました。1200年は途方もない時間だけれど、この地にあって縷々とつづく文化の一助となればと願っています。
施工 / (株)マツシタ店装
構造設計 / 中村建築構造設計合同会社
















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